名字とルーツの物語

これまで「ルーツ探訪」と「元祖発見」では様々なルーツや元祖を探ってきましたが、この度のホームページ刷新に伴い、「名字」をテーマとして焦点をあててまいります。

日本には非常に多くの名字が存在し、その数およそ30万種という説もあるほどです。

本宗は「先祖供養」を功徳の柱としており、名字とは切っても切れない縁があります。その由来を探る過程は、まさにご先祖さまとの邂逅ともいえるでしょう。

さて、珍名さんも含めて、どんな名字の由来があるのか、どうぞ楽しんでお読みいただければ幸いです。

[第1回]まずは名字の基礎知識から

(1)日本の名字
名字(または苗字)は家系や家族を表す名のことを指します。ただし法律上は(うじ)であり、通俗的には(せい)とも呼ばれます。
日本における名字は、中国から入ってきた(あざな)の一種とみられています。公卿においては早くから邸宅のある地名を称号としていましたが、これが公家や武家社会における名字として発展・定着していきました。
(2)名字研究の歴史
日本人の名字や系譜についての文献として、古くは南北朝時代から室町時代初期に完成した尊卑分脈(そんぴぶんみゃく)があります。これは姓氏調査の基本図書のひとつで、公卿の洞院公定(とういん きんさだ)の手によって編纂されました。
公定の死後も養子や孫らによって編集・改変・訂正・追加が行われたことから、鎌倉時代以前の名字や家系を知る上で貴重な資料となっています。
江戸時代になると、三代将軍家光の命によって編まれた寛永諸家系図伝(かんえいしょかけいずでん)、その続編にあたる寛政重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)を代表として盛んに家系図が作られるようになりましたが、学問として名字の研究が本格的に行われるようになったのは、明治時代に入ってからとなります。
(3)名字の種類はどれくらい?
日本の名字の数え方には諸説あります。
例えば、読みは同じ「いとう」であっても、「伊藤、伊東、井藤、依藤、井東」など漢字構成の違いにより各1件と数える方法もあれば、漢字は同じ「伊藤」でも「いとう、いふじ」など「読み方の異なるもの」を各1件とする数え方などがあります。
また、本宗の祖師の名字である「齋藤」では、「齊藤、斎藤、斉藤…」などなど「さい」の字のバリエーションが大変多い名字として知られており、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げられたほどですが(この件は本編で取り上げる予定です)、これも各1件と数えるとそれだけ種類が増えることになります。
名字研究家であり文学博士でもあった丹羽基二氏の著書「日本苗字大辞典」によると、漢字と読みが異なるものをそれぞれ数えると30万種弱と紹介されていますが、その中には幽霊名字(実在していない名字)も含まれているとも言われており、それらを除外すれば10〜15万種程度とする見解もあります。
いずれにしても、正確に数えるのは相当に困難なのが日本の名字といえます。
[参考/Wikipedia、名字由来net 他]